イメージ画像

藤原伊織氏の探偵小説(ミステリー)

私の好きなミステリー作家の一人に藤原伊織氏がいます。
残念ながら藤原伊織氏は2007年に亡くなってしまいましたが、それまでに10冊(生前は8冊)の小説を発表しています。

藤原氏はもともと電通に勤務しており、仕事と作家活動を平行しておこなっていたため、 10冊は知名度のある作家としては少ない方なのではないですかね。

その10冊の多くは、主人公が探偵のように活躍するミステリーであり、いわゆるハードボイルド色の強い作風です。
藤原氏はミステリー作家の中でも「ハードボイルドミステリー」を得意とした作家だと思います。
中でも「テロリストのパラソル」は江戸川乱歩賞と直木賞を同時受賞した初の作品で、私も大好きな一冊です。

ストイックな主人公が謎を解くために、身分を偽装しての聞き込みや尾行・張り込みなど探偵のような行動を取るのですが、 主人公が逆に尾行をされるシーンや尾行をまくシーン、 その他、ヤクザの協力、拳銃や爆弾といったアイテムの登場などハードボイルドテイストがあちこちに見られます。

また「てのひらの闇」という作品では、主人公は普通に生活しているサラリーマンですが、ヤクザの息子という過去を持っており、 暴力的な相手に対して暴力的な手段で対抗する等、やはりハードボイルド色の強い作品と言えます。

これらのように、藤原氏の多くの作品は一般的な探偵小説のように事件を解決するというよりは、 主人公の活躍で「大きな謎を解く」ということがテーマになっています。

但し、本来、ミステリー(推理小説)は主人公が内面的な思索(推理)を重ねつつストーリーが進んでいくものであり、 対して「ハードボイルドミステリー」は、まさに刑事や私立探偵である主人公が行動的に物事を調べて解決していくものなのだそうです。
(おそらく欧米の基準ですが。)

ちなみにハードボイルドのように非情さを全面に出さないものは「ソフトボイルド」、 主人公が現職の刑事や探偵ではなく素人探偵であり、作風からハードボイルド性を排除したものは「コージー・ミステリー」と言うのだそうです。

実は藤原氏の作品にも、明確に探偵(もしくは刑事)であるという人物は登場していないんですよね。
いわば「ハードボイルドミステリー」と「コージー・ミステリー」の中間が藤原伊織氏の作風であると言えます。

現代小説では、探偵を職業とする人間を主人公とする場合もなくはないですが、 実際にはこのような作風の方がポピュラーなのではないでしょうか。

このページの先頭へ